研究会|Workshops

2023年度 第1回 土山湾研究会


2023年7月1日(土)13:00—16:30
Zoom 会議


<ド・ロ版画の制作時期の推定――ド・ロ書簡を通して>
郭南燕(明治大学)

長崎在住のド・ロ神父が上海在住のパリ外国宣教会の調達責任者マルティネ神父宛に書いた手紙12通の存在は昨年、明らかになった。森下シルヴィさんと郭は、パリ外国宣教会文書館に収蔵されたそれらの書簡の翻字、翻訳、解釈を進めてきた。12通のうちの9通が、上海、徐家匯、土山湾などに言及している。その9通を検討することよって、ド・ロ版画の制作時期がほぼ確定できるのではないかと思う。本発表は、これらの書簡で読み取れた情報を分析し、創作時期の確定に至るまでのプロセスを示す。

<ド・ロ版画の版木に関する初歩的分析>
三山陵(日中芸術研究会)

ド・ロ版画10幅の版木10枚が大浦天主堂キリシタン博物館に収蔵されていることは周知の通りである。これらの版木に関する専門的な調査はまだ行われていないようである。本発表は、版木10枚の写真(人間文化研究機構の「宣教師の日本語文学:キリシタン文学の継承」研究班による2018年撮影)に基づいて、これらの版木から見られる木版彫刻の特徴に触れる。詳しい調査研究は、今後のド・ロ版画と版木の実見に俟ちたい。

<パナマ太平洋万国博覧会(1915年)と土山湾工房>
白石恵理(関西外国語大学)

第1次世界大戦の最中である1915年2月20日〜12月4日、カリフォルニア州サンフランシスコにおいて「パナマ太平洋万国博覧会」が開催された。海外から28カ国が出展し、約1900万人の来場者を集めた。中華民国(当時)からは、土山湾孤児院工房も出展し、その精緻で幅広いジャンルにわたる作品群はとくに欧米諸国の注目を集めたといわれる。本発表では、土山湾工房作品の展示概要とその国際的評価および余波を振り返り、孤児院工房が生み出した芸術の特徴についてあらためて考えてみたい。

<港市国家アユタヤとイエズス会>
李梁(弘前大学)

従来、イエズス会は、その創始者のロヨラの「超自然の合理主義」の下で、創始当初から非常に教育を重視してきた。一人前の宣教師を養成するのに、長い年月が必要とされていた。そういう意味で、宣教運動の展開とともに、とりわけ16、17世紀に、東アジア、東南アジアに到来したイエズス会の宣教師らによって、世界規模の「知のネットワーク」が構築されたと言って良い。今回の発表は、フランス・イエズス会宣教師のギー・タシャールを中心に、ごく簡単にタイのアユタヤ朝ナライ王時期のイエズス会などの存在を紹介し、将来、ベトナムでの状況の調査を広げ、さらに中国との関連状況を明らかにしようとする狙いである。

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